あらいぐまラスカルでさらなる人気を博したアライグマ。
小さな手を使って魚を捕まえる姿は、人の手を洗う姿に見えて可愛らしいですよね。
しかし見た目やしぐさの可愛らしさから一変!実は凶暴な面があることをご存知でしたか?
ここではアライグマのリアルな生態と飼育についてまとめます。
アライグマとは
アライグマとは哺乳綱食肉目アライグマ科アライグマ属に属する生き物のことです。
頭胴長40~60cm、尻尾20~40cm、体重4~10kg程度。野生での平均寿命は3~5年、飼育下では10年〜20年も長生きします。
一見タヌキにも似ていますが、耳にある白い縁取に白っぽい足、ふさふさの長い尻尾には黒い輪が数本あります!
歩き方はクマのように「かかとをつける蹠行性(しょこうせい)」で、人の手足のような長い5本の指が可愛らしいです。
被毛は灰褐色で、眼のまわりから頬には黒い斑紋があります。
アライグマの生態
アライグマの名前は、水中に前足を入れて獲物を探る姿が「手を洗っているように見える」ことに由来しています。
北アメリカ原産で、日本やヨーロッパには外来種として生息。
雑食性で、木の実や果物、昆虫や両生類、魚、貝、小動物、鳥の卵も食べます。
一方、都市部に生息するアライグマは生ゴミを漁り、農村部では畑や家畜に被害をもたらしています。
生命力も強いので生態系への影響や、人への被害も問題視されています。
アライグマは人気のぺットだった!
出典:twitter.com
かつてアライグマは、日本で大人気のペットでした。
動物園のアイドルや、80年代に当時放映されたアニメ「あらいぐまラスカル」の影響で「アライグマを飼いたい」と思った人も多いでしょう。
アニメは視聴率21.6%を記録。ペットとしてのアライグマは1頭5万円前後で取引されました。
しかし見た目の可愛いらしさや手を洗うような繊細そうな姿とは裏腹に、アライグマの性格は凶暴だったのです。
人に懐くことも少ないアライグマは、最終的には逃げ出したり、飼主さんに見放されて野に放たれることがありました。
アライグマに必要な飼育環境
アライグマを飼育するときの飼育環境は広々と。それでいて放し飼いはNG。
食事は人参などの野菜やリンゴ・バナナなどの果物が中心。副食は身近なドッグフードでOK.
骨が多い肉や魚は、骨が喉につかえる可能性があるので与えないようにします。
性格は荒いので、餌を与える時も過度にスキンシップをはかるのは大変危険です。
アライグマは、ペットには向かない生き物と言えるでしょう。
アライグマの飼育「懸念される病気」
アライグマは犬と同様、狂犬病ウイルスを持っています。
症状が出にくいので感染しているのかどうかも判断し辛いです。
狂犬病ウイルスの他には、回虫などの寄生虫や人獣共通感染症のレプトスピラ症に感染する可能性があります。
これらはペットや人にも感染するので気を付けましょう!
そのためアライグマを飼育している場合は予防接種を受ける必要があります。しかしアライグマに対応している動物病院はほとんど無い現状です。
アライグマの飼育「生息環境」
野生のアライグマは、森林にある木の洞や草原、岩の窪みに。都市部では納屋や車庫、屋根裏に住みつくことがあります。
アライグマは「水辺で獲物を捕まえる」ので、野生のアライグマは森林の河川地域で見かけることもあるでしょう。
環境に適応しやすいので、湿地帯や沿岸部でも生息することができます。
冬には穴ごもりをして寒い冬を乗り越えますが、寒暖差が少なく暖かい地域では一年中活動するのも困り者です。
※穴ごもりとは「木の洞や土に掘った穴の中で冬を過ごすこと」です。
アライグマの飼育「天敵ナシ」
アライグマは、外来生物のため天敵がいません。
その上繁殖力が旺盛で、2~6月頃の繁殖期には4〜7匹程子供を産むことがあります。
小さな頃は大人しくて可愛くても、大きくなると嫌がられる存在になってしまうのが悲しいですね。
アライグマの飼育「冬も活動することがある」
アライグマは夜行性の生き物です。
日中は静かに過ごして、夕方から水辺で採食します。
民家では、ペットのエサや金魚・鯉を補食することもあるので大変です!
人はアライグマより大きいので襲われることは少ないですが、ペットは身体が小さいのでよく狙われます。アライグマと出会ったときには、ペットをいち早く非難させる必要がありそうです。
アライグマの飼育・保護「罪に問われる」
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平成16年に公布された「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」では、アライグマが「特定外来生物」に指定され飼育は禁止されています。
保護することも不可です。千葉県では、アライグマによって「減少が危惧されているニホンイシガメ」などの100匹以上の在来カメ類の死体が発見されました。※2008年
「特定外来生物」と認定された以上「生態系に悪影響を及ぼしたり、農林水産業に大きな被害、人に危害を加える可能性がある生物」として捕獲・駆除の対象となります。
それでも飼育・保護した場合は罪に問われるので、捕獲しないようにしましょう!(個人だと3年以下の懲役か300以下の罰金。法人の場合は1億円以下の罰金と重い罪が科せられます)
ただし学術研究や展示、教育などを目的に大臣の許可を得ることが出来れば、アライグマも飼育可能です。
まとめ
出典:xxxkaigaixxx.blog.fc2.com
ラスカルで人気を集めたアライグマは、ヒグマやライオン、オオカミと同じ「食肉目」の生き物です。
1998年の日本哺乳類学会では3種の駆除を求める大会決議で、日本生態学会の定める日本の侵略的外来種ワースト100にアライグマがランクイン!
「可愛いから」「生き物の命を大切に」とは言っても、一定の被害が確認されているので保護もしないようにしましょう。
アライグマの合計40本の鋭利な歯で噛まれたら大怪我すること間違いナシ。
また人よりもペットへの被害が懸念されます。
もしアライグマを見かけた場合は、近づいたり触ったりせず「静かに立ち去るのを待つか、ゆっくり距離を取る」ようにしましょう。