名作「ガメラ」のモデルになったワニガメは、30~100年も生きる「長寿の水棲亀」です。
※水棲亀とは「水の中で生活することが多い亀のこと」です。
出典:youtube.com
ガメラ同様、迫力のある「ワニガメ」は一体どのような亀なのでしょう。
ワニガメとは
ワニガメは北アメリカ原産、爬虫綱カメ目カミツキガメ科ワニガメ属の亀です。
最初は手のひらサイズだったのに、成体になると甲羅80㎝・全長120cm、体重110キロにもなる大型の亀。
ワニのような大きな口が特徴的で「カミツキガメ」と間違われることも多いです。
ワニガメと混同「カミツキガメ」
爬虫綱カメ目カミツキガメ科カミツキガメ属の亀です。
甲長は最大50cm程度でワニガメより一回り二回り小さめ。
しかし首を長く伸ばせば全長100cm近くにもなるのだから驚きですよね。
カミツキガメの甲羅はなめらかであるのに対し、ワニガメの甲羅は「岩」のような独特な形状が特徴的です。
《歩き方の違い》
歩き方ではワニガメは這うように歩くのに対して、カミツキガメは手足で身体を支えて腹甲を引きずらないように歩きます。
くちばしが比較的尖っておらず、ワニガメの下にある疑似餌のような突起も持っていません。
ワニガメ「水棲亀」
ワニガメはほとんど生活を水の中で過ごします。
住んでいるのは流れの緩やかな池や沼で、水質は泥で濁り植物がたくさん生い茂っている場所を好みます。
陸に上がるのは3年に1度の産卵の時だけです。
産卵は、春に交尾をして夏になる前に上陸し、土の中に5個~50個の卵を産み付けます。
秋になると赤ちゃん亀は元気に水の中に帰っていきますが、たどり着くのも一苦労です。
ワニガメ最強説!
弱点という弱点も無く、野生下では敵なしとも言えるワニガメ。
ワニが相手でも、ワニガメの甲羅がある限りは最強!
ただ小さなワニガメは(肉食の)鳥類や哺乳類に捕食されないように注意する必要があります。
弱点ではありませんが、頭が大きすぎて甲羅の中に隠れられないのは可愛らしいと思ってしまいますね。
ワニガメは雑食
ワニガメは雑食性の亀です。
哺乳類・鳥類・魚類・爬虫類・両生類の他、貝や野菜・果物も食べます。
捕食方法ではワニガメの舌をよく見ると、一点だけミミズのように細長くピンク色の部分があります。
これを疑似餌にして魚を捕食するのです。
大きくなるほど甲羅と体が強くなり、生体になると積極的な夜の索餌行動でも餌をゲットできるようになります。
ワニガメの大きな口
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頭が大きいワニガメは「大きな口」も特徴的!
頭部をトンと触っただけでこの口の開き用。ガメラより怖いかも…。
顎先は尖っていて、噛む力はなんと300kg~500kg!
大根もひと噛みで大根おろし状になるので驚き。貝類や他の亀の甲羅だって噛み砕いてしまいます。
お世話をするときには誤って手を噛みちぎられないように注意する必要がありそうです。
ワニガメに注意!
出典:動物.jp
これまでワニガメの危険性について語ってきましたが、基本的には水中にしかいないので出会う事も無いに等しいです。
生息地も「透き通った綺麗な川」よりも「濁った池や沼」を好むので、遊ぶときに「いきなり池や沼に入っていく」ようなことがなければ比較的安心して過ごして良いでしょう。
陸で見かけたときにも「触ろうとすると驚いて噛みちぎられる危険性」があるので注意しましょう。
ワニガメと擬態
ワニガメとは、万が一出会ってもワニガメの方が小さいので逃げていきます。
しかし比較的安全だからと言って「野生のまま生かしておけば生態系が崩れる」ことにも繋がります。
ワニガメを見かけた時には警察に連絡して対処してもらうようにしましょう。
ワニガメの神秘
ワニガメの首周りのトゲトゲは、水の流れを把握・獲物の場所を特定できるようになっています。
嗅覚も敏感で、遠くの獲物(死肉)も分かります。
ワニガメにとっては死肉も貴重な栄養源になるのです。
水族館で見かけたワニガメ
水族館で見かけたワニガメ。
人目で大きな顔に一目惚れしました。
裏返すと手足や尾も露出していて「甲羅の中に隠れる必要もない」という堂々たる体格!
映画はゴジラ派ですが、亀はワニガメ(「ガメラ」のモデル)が一番好きかも。
甲羅にある3本のキールで岩に擬態できるのも凄いですよね。
首の短さや比較的太い手足・尾も個人的に好きなポイントです。
ワニガメの飼育
ワニガメを飼育しようものなら「大変な思いをすることを覚悟の上」で購入する必要があります。
飼育ではお住まいの都道府県に申請・何万円も申請料金を支払い高額なマイクロチップまで埋め込みます。
飼育環境では大きな水槽・ケージが必要になり、水替え(掃除)も一苦労。
《単独飼育がおすすめ》
それでも飼育したい場合は単独飼育がおすすめです。
複数になると扱いに苦労する他、新しい仲間が増えれば再度申請をする必要があります。
水換えする時は噛みつきあいにも注意する必要がありそうです。※水の中では噛みつきあう事も少ないです。
ワニガメ飼育の申請
ワニガメは120cm以上の水槽・ケージがおすすめ。ケージに鍵付きは必須条件です。
水温は小さな頃は28~30度、大きくなったら25~27度程度に保ちます。
ヒーターや水中温度計は噛み砕かれないように水槽内に直接入れることは避けましょう。※水温はパネルヒーター等で温めてあげると良いでしょう。
ワニガメと飼育のワンポイント
ワニガメも室内飼育が基本で、他の亀と同様に紫外線ライトでおよそ半日(10時間程度)の日照時間を再現。
紫外線は亀の健康に欠かせないので忘れないようにしましょう。タイマー付きのライトだと管理が比較的楽になります。
餌は専用フードの他、鳥のササミ・魚の切り身も食べます。豊富な栄養素で健康的に育てあげてください。
さいごに
飼育では申請や設備・食事でも何かとお金がかかるワニガメ。
経済的な負担の他にも精神的・体力的な負担が大きい亀は、何十年もお世話をできるのか不安になりますよね。
それでいて危険性も伴うのだから飼育は命がけ。
野生下で見かけた場合は、触ったり捕獲しようとせずに警察に通報するようにしましょう。