手足が短いコーギーは、まるいお尻に短いしっぽも魅力の一つですよね。
しかしコーギーのしっぽは元々短いわけではなく、生まれてすぐ短く切られてしまう事が分かりました。※断尾と言います。
どうしてコーギーのしっぽは短く切る必要があるのでしょう。
コーギーの体型としっぽ
コーギーの体高は25~30cm、体重は10kg前後が一般的です。
※体高とは「前足から(地面から)頭の上までの高さ」のことです。
牧羊犬(ぼくようけん)として活躍していた歴史もあり、長いしっぽは羊や牛等に踏まれて怪我をすることが無いように断尾することがありました。
現在はペットとして飼育されることが多いので、「しっぽを切る風潮は時代に適していない」とも言われています。
しかし未だに「おしりが丸く・しっぽが短い体型」のコーギーがメジャーで可愛いとされています。
コーギーのしっぽ「断尾の理由」
他にも断尾する理由には以下のようなことがあります。
・コーギーのふわふわしたしっぽは、キツネと間違われて撃たれることがあったため
・走り回った時にしっぽに色々なものがまとわりついて怪我・病気を避けるため
・原産国のイギリスでは、しっぽがあると課税の対象になった過去があるため
・単純に可愛くして売れ残りを防ぐため
コーギーのしっぽ「犬の協会」
出典:corgi.breeders.jp
JKCやKCといった「犬の協定」では、血統書等を発行する上で「コーギーの標準な体格」を定めています。
法律の面では「動物の愛護及び管理に関する法律(動物を守るための法律)」に賛同する人により、抗議運動も行われています。
そのかいもあって、最近では「ありのままのコーギー(しっぽがあるコーギー)」も可愛いと評判になっています。
しっぽがあるコーギーの姿
「しっぽがある」と聞くと「(しっぽが短いコーギのしっぽは)どの程度の長さなんだろう」と思いますよね。
実際に見てみると地面に付くほど長いしっぽを持つ子が多いです。
こうなると誤って踏んでしまったり、いらないゴミ・ほこりや寄生虫等をモップのように集めて怪我・病気の元にもなりそうです。
ブラッシングはもっと強化する必要がありそうですし、こうなると「断尾した方が飼いやすいのかな」と思ってしまう事もあるかもしれません。
コーギーにとっても「毎日しっぽにまとわりつくゴミ・ほこり、寄生虫等を防ぐことができて良いのかな」とも思ってしまいそうです。
しかしコーギーが自ら望んだ形ではないので、やはり納得がいかないことが多いでしょう。
コーギーのしっぽ「断尾の方法」
断尾の一般的な方法はメス・ハサミで切り落とす方法です。
生まれたてのコーギーには、体に大きな負担がかかるので麻酔はかけずに切り落とします。
こういった話を聞くと「(我が家のコーギーも)痛い思いをして切られていたのか…」と可愛そうな気持ちになりますよね。
断尾の方法(バンディング法)とは
断尾の方法には、メス・ハサミを使わずにゴム等でしっぽの根元を縛って腐り落とす方法もあります。
ただし下手をするとしっぽ周りにも悪影響を及ぼし、最悪の場合は死に至ります。
生まれてきて最初の試練が「断尾」というのは心が痛みますね。
コーギのしっぽ「断尾の影響」
体の一部分を切断されるというのは、コーギーにとっても大きなリスクを伴います。
※メス・ハサミでの切断では感染症のリスクもあります。
そして「メス・ハサミでの切断」や「しっぽを腐り落とす(バンディング法)」はどちらも痛みを伴う為、最悪の場合はショック死に至ることも。
トラウマが残って「突発的激怒症(攻撃的になること)」になる子も多いようです。
愛護団体と「コーギーの断尾」
前述のような話を聞くと、やはり動物愛護団体は黙っていません。
人間のエゴだけで半ば虐待のような「断尾」にも反対運動が盛んに行われています。
そのような影響もあり、最近ではしっぽがあるコーギーも増えてきています。
《コーギーの種類》
茶系のウェルシュ・コーギー・ペンブロークはまだまだ断尾されることが多いです。
黒系のウェルシュ・コーギー・カーディガンは体がひと回り大きく、尻尾を残す風潮も増えてきています。
各国の「コーギーの断尾」考え方
原産国イギリスでは、昔ながらの「断尾に関する法律」を1991年に制定、1993年から施行されています。
ただし内容は「獣医師が断尾して、素人は行わないこと」という当たり前のことです。
欧州では断尾していないペンブロークがドッグ・ショーで活躍していることも多いです。
法律はイギリスのKCにより「コーギーの体型への規定」はあるものの、ありのままの姿で元気に過ごしている子が増えてきています。
意外にも、アメリカでは相変わらず断尾の風潮が強いようです。
犬の教会「KC」が定める「ペンブロークのしっぽ」
犬の教会「KC」が定める「ペンブロークのしっぽに関するスタンダード」は以下の通りです。
・尾は短く。元々短いとより良い。
・断尾する場合は短く。
・断尾をしない場合は、背中のトップ・ラインからそのまましっぽが真っすぐ伸びている(背の方に巻き上がらない)。
・コーギーのしっぽは背から真っすぐ伸びていて、静止しているときは普段よりも低く伸びている。
・尾の付け根の位置は、高過ぎても低過ぎても良くない。
コーギーのしっぽ「ナチュラル・ボブ」
ナチュラル・ボブとは生まれつき無尾または短いしっぽのコーギーです。
19世紀中頃より前には「ペンブロークのみの交配」でナチュラル・ボブがいたともいわれています。
欧州ではナチュラル・ボブを主流にするために、「しっぽが無い遺伝子をもつペンブロークの存在」を広めています。
ナチュラル・ボブもドック・ショーで活躍できる運動能力を持っています。
まとめ
コーギーの意思に反して、勝手にしっぽを切断されてしまう「断尾」。
コーギーにとっては大きな痛みを伴い、飼主さんもとても正気では見ていられないものです。
そして大きな痛手を負ったコーギーの体は、脊椎にある尾椎が露わとなるため縫合します。
切除もバンディングも獣医さんが最もやりたくない仕事の一つであることも多いです。
人間の欲によってできた悪い風習は排除されていくことを期待します。