食肉目ネコ科の動物
食肉目ネコ科にはネコに似ているけれどもどこか違う、様々な動物がいます。
マヌルネコ
丸い耳が離れていて低い位置にある(目が高い位置にある)ので人形のような見た目をしています。目の位置が高いのは平たんな砂漠で岩陰に隠れて獲物を狙うためだと言われています。
ツシマヤマネコ
日本では長崎県の対馬にのみ生息しており、東南アジアで見られるアムールヤマネコの変種だと言われています。額から腕にかけてトラのような縞模様があるのが特徴です。
ピューマ
体長が1~1.8mにもなり、ネコ科の中でも大きく北米や南米に生息しています。クーガーやマウンテンライオンとも呼ばれています。
カラカル
大きい立ち耳に先端の黒い毛が特徴です。
ネコ科は他にも多種多用ですが、ここでは比較的小さくペットにしやすいカラカルについて紹介します。
大きく尖った耳が特徴のネコ科動物
動物園で鑑賞する動物として親しまれていましたが、インドやイランでは人間に飼い慣らされ、狩猟に使われることも多いです。大型犬程度の大きさであることから、近ごろは実際にペットとして飼う人が増えてきています。
また、2014年に広島県福山市立動物園で赤ちゃんが生まれたことで注目されました。
顔つきは通常のネコと変わらないように見えますが、どんな違いがあるのでしょうか。
カラカルについて知る
カラカルの特徴
カラカルは哺乳網食肉目ネコ科で、ネコの仲間です。野性のカラカルはアフリカ大陸や西南アジア周辺に生息しています。
体長は60~90cm、体重は8~23kgと通常のネコの2倍~4倍はあります。体毛は短く、赤褐色でお腹周りやあご下は白色をしています。しっぽは長く、チーターに似たような体格をしています。
砂漠や草原に生息しており、基本的には夜行性ですが、昼に行動することもあります。俊敏な動きと優れた脚力でジャンプして小さい哺乳類や鳥類を捕まえエサにします。
寿命は、ペットで飼うと約16~20年とも言われています。
こちらはアメリカのオレゴン州、ポートランドにあるオレゴン動物園で生まれて6週のカラカルの赤ちゃんです。
お母さんのあとについて動物園内を探索している様子が伺えます。
下の動画では食事の様子、人間との触れ合い、同じく食肉目ネコ科であるサーバルとの共同エリア生活(数分のみ)を見る事ができます。
カラカルの飼育方法
幼少期から飼い始めると人間との生活に慣れ、通常のネコと同じように懐きます。様々な面から飼育は容易ではありませんが、獰猛ながらとても可愛らしい見た目から、珍獣好きには絶大な人気を誇ります。
カラカルは特定動物
カラカルは特定動物に指定されているため、実際に飼うには都道府県や動物愛護管理行政に飼育許可申請をしなければなりません。特定動物とは人の生命や財産に危害を与える恐れがある動物として政令で定められている動物のことです。
許可を得るには、檻を設置する、特定動物を飼育しているという標識を表示する、マイクロチップを埋め込む、輸送用のゲージを準備するなどの、様々な準備が必要です。
整った環境
カラカルを飼うには広い敷地と高さが必要になります。高いジャンプ力を活かして狩りをする習性があるため、高い時は3メートルものジャンプをする生き物です。十分に遊ばせるため、広い吹き抜けのある家や施設が理想的です。
通常のネコと同じように高いところに登るのが好きなので、高く登れるものがあると良いでしょう。
カラカルを飼うという事はジャンプ力のある大型犬を飼うようなもの。家の中の物や家具が壊れる・傷つく覚悟はしておきましょう。
エサはキャットフードで良い?
カラカルは生肉が主食です。基本的には生肉を食べます。鳥類をエサにすることから、ウズラが適していると言われています。捕まえてあげる訳にもいかないので、販売されている食べやすく整えられた冷凍のものをあげると良いでしょう。
しかし毎日2~3食ウズラばかりあげるのも大変で費用がかかりますので、キャットフードに慣れさせるのも大事です。ヤマネコ用の缶詰もエサとしてあげやすいので、混ぜてあげると良いでしょう。キャットフードは栄養バランスを考えて作られた上質なキャットフードをあげましょう。
ネコの3倍食べるとも言われるほどとても食欲旺盛で、質の良いエサや生肉をあげなければいけないことから、食事代だけでもかなりの額がかかることは知っておく必要があります。
しかし、どんなペットにも当てはまることですが、エサのあげ過ぎ・肥満には注意しましょう。
予防接種やお手入れ
予防接種はネコと同じ混合ワクチンを打ってあげれば大丈夫です。お手入れもネコと同じく爪切りをしてあげたりブラッシングをして毛玉を取ってあげたりしましょう。
犬と一緒に飼うのがおすすめ
犬と猫はもちろん、犬とキツネ、犬と羊、犬とサルなど、育てやすくするのを一つの理由として犬とセットで飼われることが多々あります。
元々野生動物のカラカルは警戒心が強く、幼い時から人間と育っていても家を頻繁に開けたり離れる時間が多くなると、再び警戒をしたり慣れにくくなる可能性があります。
そこで、犬と共に生活することで、犬と飼い主の関係性を見て「自分も犬だ」と思うようになります。こうして犬のように潤滑なコミュニケーションを取る事ができるようになると言われています。
さいごに
カラカルを飼うのはジャンプ力のある大型犬を飼うようなもの、と紹介しましたが、やはり飼育方法は全然違います。野生気質で警戒心のある動物でも、幼いころから一緒なら人間にも懐きます。ただし広い空間と特定動物の飼育許可を得るための檻、カラカルに適したエサを手に入れるなど、かなりの出費と手間がかかるのは間違いありません。
信用度を培うためにも、運動がほどほどにできるよう、狭い所でストレスが溜まらないようにしてあげる事も大事です。特に特定動物に指定されている動物のため、飼い主が嫌になって逃げ出してしまい、捕獲、殺処分されるなんてことのないように、信頼を上手く築いてカラカルが満足のいく育て方をしてあげましょう。