うさぎの数え方には「一羽、 二羽… 」と「羽(わ)」を使って数えることがあります。
それ以外にも「一匹・一疋(いっぴき)、一頭(いっとう) 、一兎(いっと) 、片耳(かたみみ)・一耳(ひとみみ)・二耳(ふたみみ)、つ」で数えることもあります。
実際はどれが正解なのでしょう?ここでは過去の歴史や文献も振り返りながら「うさぎの数え方と由来」についてご紹介していきます。
うさぎの数え方
うさぎは「羽・匹(疋)・頭・耳・つ」の5通りの数え方があるとされています。
私達が小学生の時に習う「うさぎの数え方は、羽(わ)」です。
しかし「羽(わ)」といえば鳥を数える時に使用されることが多いでしょう。
それがどうしてうさぎにも「羽(わ)」の数え方を用いるようになったのでしょうか。
また、うさぎの数え方に「兎(と)」は無い理由もまとめます。
うさぎの数え方「羽(わ)」
うさぎを「羽(わ)」で数える理由には以下のようなものがあります。
・長い2つの耳が「鳥の羽」のように見えるから。
・鳥の骨格にうさぎの骨格が似ていたから。
・うさぎの肉が鳥肉に似ているから。
・二本の足で立ったうさぎを鳥として食べたから。
・うさぎの跳ねる姿が鳥が地面を歩く姿に似ているから。
・「ウサギ」を「鵜(う)」と「鷺(さぎ)」の鳥で称したから。
・鳥を捕まえる方法がうさぎの捕獲方法と似ているから。
また、仏教の教えでは「限られた肉しか食べられなかった(食べることを禁じられていた)歴史」があります。
しかし魚や鳥は食べても良いとされていたため「うさぎを鳥として食べる」為に「羽(う)」を使うようになったとも言われています。
ウサギはジャンプ力からも推測できるように、前足よりも後ろ足が大きく発達しています。
その部分でも、うさぎを骨付き鳥肉のように「鳥」として食べることがあったようです。
食肉が限られていた時代では、うさぎと鳥は切っても切れない関係だったと言えるでしょう。
うさぎの数え方「羽(わ)を使う他の理由」
「うさぎを鳥として食べた歴史」以外で、うさぎを「羽(わ)」で数えた理由は以下の通りです。
・うさぎの耳を持って数える時に「 一把、二把… 」と束ねて数え方「把(わ)」が「羽(わ)」になった。
・うさぎは人々の生活を豊かにする聖獣で他の獣(匹)と区別するため「羽(わ)」を使った。
歴史的な理由では、犬公方とも称される徳川五代将軍の綱吉が「生類憐みの令」を発布。
※「生類憐みの令」とは、動物の殺生を禁じた法令のことです。
その為、同じく「(食べても良い)鳥として食べる」ために「羽(う)」を使うようになったと言われています。
うさぎの数え方「匹・疋(ひき)」
哺乳類(獣)や魚・虫の数え方では「匹・疋(ひき)」が使われます。
そして最近はメディアでも「匹・疋(ひき)」の数え方がメジャーになっています。
うさぎの数え方は「羽(う)」なのか「匹・疋(ひき)」なのか…。
過去の文献を見てみると「匹・疋(ひき)」と記載された方が多かったので、多数決で言えば「匹・疋(ひき)」が一般的と言えるでしょう。
うさぎの数え方「頭(とう)」
うさぎの一般的な数え方は「匹・疋(ひき)」でも、うさぎの飼育環境によっては「数え方が変わる」こともあります。
その中の1つ「頭(とう)」は、両手で抱えきれない大きな哺乳類の数え方に使われることが多いです。
あとは希少価値が高い聖獣や動物実験・盲導犬のように人の生活を豊かにする生き物、ペットとして飼われているうさぎも「頭(とう)」で数えます。
うさぎの数え方「耳(みみ)」
うさぎは長い耳が特徴的なので、地域によっては耳をくくって数える方法もあります。
ただ数え方は独特で、一匹を「片耳(かたみみ)」、二匹を「一耳(ひとみみ)」と数えるところもあれば、一匹を「二耳(ふたみみ)」と数えるところもあります。
歴史が古いほど、一匹を「二耳(ふたみみ)」と数えることがあったようです。
うさぎの数え方「つ」
「つ」は数を数える時に使う数え方です。
英語でも、数を数える時には全てone、two、threeと数えます。
日本語でも「一匹(いっぴき)」や「一頭(いっとう)」等、そのものによって変わらない数え方「つ」もある意味メジャーな数え方です。
うさぎの数え方「兎(と)」は例外
普段の生活では、うさぎを「兎(と)」と数える人は少ないでしょう。
しかし、うさぎを使ったことわざ「二兎(にと)を追うものは一兎(いっと)をも得ず」では「兎(と)」が使われています。
これは数え方というより「うさぎそのもの」を指しています。つまり「二匹の兎を追うものは一匹の兎をも得ず」となります。
うさぎの数え方「歴史や文献」
うさぎの数え方は、過去の歴史や文献さかのぼることで解くことができます。
文献では「羽・匹(疋)・羽・頭・つ」の数え方の「どれが使われているのか」「何時代に使われていたのか」「何で表現されていたのか」によって正解を見つけることができます。
場合によっては数え方が混在しているものもあります。
うさぎの数え方「歴史や文献」
過去の文献には「羽(わ)」と記載された文献が数多くありました。
中でも、大正の雑誌に掲載された南方熊楠(みなかた くまぐす)の「十二支考02 兎に関する民俗と伝説」では、「うさぎ」を「鳥」として食べるために「羽(わ)」で数えたことが明らかとなっています。
文献でも最も多い数え方には「匹・疋(ひき)」があります。
泉鏡花 「註文帳」では「それ或あるいは三羽(びき)か、三疋(びき)か、燕(つばめ)か、兎か、見分けもつかず、波の揺れるようにたちまち見えなくなった」と、鳥は「羽」と書いて「ひき」と数えることもありました。
《耳の数え方が記載されてある文献》
「耳(みみ)」の数え方について記載されてある文献は以下の通りです。
明治の「尋常高等小学作文八千題」や江戸の「大諸礼集 小笠原流礼法伝書 二巻」では「一匹を片耳(かたみみ)と言い、二匹で一耳(ひとみみ)」と数えたことが分かっています。
しかし天文の「運歩色葉集」や永祿の「節用集」には「一匹を二耳(ふたみみ)」と数えました。
つまり、時代が新しくなるにつれて「二匹で一耳(ひとみみ)」と数えることが増えたことが分かります。
他にも頭(とう)」「つ」の数え方が記載された歴史や文献もありましたが、 歴史や文学作品の中でもうさぎの数え方は異なる(または混在)していたことが分かりました。
まとめ
うさぎの数え方は「匹・疋(ひき)」で数えるのが一般的ということが分かりました。
しかし、場合によっては「羽・頭・耳・つ」の数え方を使っても良いことが分かります。
※「兎(と)」に関しては、ことわざだけの例外と考えましょう。
今後は、小学校でもうさぎの数え方の「違いと由来」をセットに教えていく必要がありそうです。