水中に飛び込み魚を捕食するミサゴ。
その姿から「魚鷹(うおたか)」の愛称でも親しまれている鷹(タカ)です。
ミサゴは、強そうな見た目に合わない「可愛らしい声」も魅力的!
ここでは、ミサゴという鳥の生態や鳴き声についてまとめます。
ミサゴという鳥
ミサゴは、タカ目ミサゴ科に属する大きな鳥です。
大きさは(メスの場合)全長63cm、翼は開長174cm程度。
一方、オスの場合はというと「ひと回り小さく全長50cm、翼は開長157cm程度となっています。
翼は細く長いものの、尾は短め。被毛は、白い体毛にこげ茶の「白黒」羽毛。暗褐色の模様も魅力的な鷹です。
オスとメスの区別は「胸の斑の大きさや濃さ」によって判断できるようです。
ミサゴの特徴
トビとほぼ同じ大きさのタカのミサゴ。
※トビとは、飛んでいる時の「尾の短さ」でも区別できます。
ミサゴの羽毛は「背中側は暗褐色で、お腹側は白い羽毛」の白黒のコントラストで美しい!
目の周りは眼帯のような黒で、眼帯~首の後ろに続く黒のライン、後頭部には短い冠羽も特徴的。
足の指は、滑り止めの役割を果たす「うろこ状」で、足の裏側には「魚を弱らせるためのとげ」があります。
ミサゴ「名前の由来」
ミサゴの名前の由来は、水中に飛び込み魚を捉えようとする姿から「水さぐる」「水捜(ミゾサガシ)」など所説あります。
関西では、「ビシャン」という水音が訛って「ビシャゴ」から「ミサゴ」になり、現在も一部の地域では「ビシャゴ」と呼ばれているようです。
ミサゴの漢字:鵃、鶚、雎鳩、雎など
英英名:Western Osprey
因みに、米軍の変翼式飛行機「オスプレイ」は、ミサゴの英名が由来となっています。
ミサゴとオスプレイ
米軍の軍事機で有名なオスプレイ。
「2基のローターで垂直離着陸ができる航空機」のオスプレイは、まさにミサゴの見た目・飛び方そのもの。
ミサゴのような急降下や、ホバリングのような飛行もお手の物です!
因みに、ミサゴが水中に向かって急降下する姿は「(人が)水泳のジャンプ台から飛び込んだ時」のような美しさがあります。
ミサゴの生息地
ミサゴは、ユーラシア大陸やアフリカ大陸、北アメリカ、オーストラリア大陸の一部(寒帯地域以外)に生息。
日本では全国的に見ることができる夏鳥です。
繁殖後も、アジアやアフリカ、南アメリカ大陸へと渡っていきます。
北日本に生息するミサゴも、晩秋になると南下。
そして温かい地域で冬を越したら、また涼しいところへと渡来するのです。
ミサゴの性格
出典:www.youtube.com
鋭いくちばしと鍵爪、力強いパドリングなどの動作が印象的なミサゴ。
このような見た目や動作から、ミサゴの性格は「怖いんだろうな」と思ってしまいますよね。
でも、鳥食の猛禽類ではなく魚食メインのミサゴの性格はおっとり。
見た目はカモメにも似ていて、たまに「(カモメから)虐められていることもある」いじらしい鳥です。
ミサゴの鳴き声
ミサゴは、ほとんど鳴かない鷹です。
それでも繁殖期になると、か細い声で「ヒョッ」「ピョッ」「ピィピィ」と鳴くこともあります。
巣にいる時よりも、飛んでいる時の方が鳴くことが多いもよう。
鳴き声は、カラスのように「カーカー」と長く鳴き続けることは少なく、短く鳴きます。
実際の映像では「インコのような可愛らしい鳴き声」だと分かりますね。
ミサゴの狩猟
密集していて耐水性のある羽毛と、鋭く長い鉤爪で「水中で狩猟に適した体型」のミサゴ。
ミサゴは、空中で羽ばたきながらその場に留り(※ホバリングのこと)、水面まで急降下!
長い鉤爪で魚を捕まえて、そのまま大きな足の爪でホールド!
小さい魚なら片足で掴んで運び、大きい魚は「手ぬぐいを絞る」ようにガッチリ握ります。
魚は横にして掴むのではなく、写真のように頭を手前に縦にして運びます。※爪1本で「大物を引っかけて飛ぶ姿」も、勇敢でカッコいいです。
ミサゴの視力
全国で繁殖する、留鳥(りゅうちょう/とどめどり)のミサゴ。
狩猟は、(河口部なら魚がたくさんやってくる)潮が満ちる時から開始!
ミサゴは、水面から50メートルの高さからでも魚を見つけることが出来て「水深」も計ることができます。※ミサゴの視力は、人の5倍以上とも言われています。
そして獲物をめがけて時速130kmで急降下!翼を縦にして、鍵爪から水面へ。
この「高さ×スピードで入水する」と、水中に飛び込んだ時の表面張力は「コンクリートの固さに等しい」とも言われています。
ミサゴ「面白い動作」
他の魚食性の猛禽は「くちばしから入水する」ものの、ミサゴは鍵爪から入水。
「水抵抗を減らした姿勢で入水する」とはいえ、大きな体のミサゴが入水すると衝撃が凄い!
ミサゴが入水すると大きな水しぶきで水煙(みずけむり)ができます。
そして水中に飛び込んだ後は、シャンプー後のワンちゃんや猫ちゃんのように体を震わせて水気を飛ばします。
あとは体についたゴミを外そうと「水面を走るような動作」も可愛いです。
ミサゴの食事
タカ目の中でも珍しく「魚中心の食性」を持つミサゴ。
ガッチリ掴んで魚は、離さずそのまま上空へ。
捉えた獲物は、巣に持ち帰ってゆっくり食べます。
あとは、木の枝や岩場、杭の上でもOK。
魚は「鯉やボラなどの大物」から「身近なアユの狩猟」もお手の物です!
ミサゴの繁殖
ミサゴは大きな魚が採れる、波が静かな水面がある環境湖沼や河川、海辺や岩場がある海岸、岸や岩棚などで繁殖。
繁殖期は4月頃で「一度に2~3個の卵」を産み、雛がかえるまでの日数は35日程度。
巣立ちまでは50日程度となっています。
ミサゴは普段「1羽で行動する」ものの、つがいだと「2羽で行動する」ことが多くなるようです。
ミサゴの「繁殖期の巣作り~子育て、ホバリング」も見ものです。
まとめ
日本書紀では「覚賀鳥(かくがのとり)」と記されるなど、古来から日本にも生息していたミサゴ。
そして現代では、優雅に羽ばたくミサゴが「狩猟の時に魅せる優美な姿」に魅了されるカメラマンたち。
ミサゴは、ギャップ萌えで人気急上昇!?
バードウォッチングで「ミサゴを見かけることが出来たら至高の時間」になりそうですね。