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オーストラリアの野生犬ディンゴは見た目とは裏腹に獰猛

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ディンゴ

かわいい見た目とは裏腹に獰猛な野生犬

ディンゴはオーストラリア(または周辺)に生息する大陸オオカミの仲間で野生犬の一種であり、絶滅危惧種に登録されている動物です。オーストラリアではワイルド・ドッグ(野生犬)とも言われています。

ディンゴについて知る

ディンゴの歴史

ディンゴの歴史

数千年前、台湾やフィリピンなど東南アジアからの航海民族と一緒に海を渡ってオーストラリアに着陸したのが起源とされています。
ディンゴはオーストラリア先住民、アボリジニに家畜として飼われるようになると同時に野生化していきました。

今では同じ大陸オオカミの仲間であるイエイヌとの交種が増えており、ディンゴ・ハイブリッドと呼ばれています。オーストラリア・クイーンズランド州に位置するフレーザー島に生息するディンゴはオーストラリア東部で極めて純血のディンゴです。

また、かつてディンゴはフクロオオカミと生態的地位をめぐる競争で勝ち、フクロオオカミは絶滅しました。
単独で狩りをするフクロオオカミと比べて集団で狩りをするディンゴが有利だったのではないかと言われています。

ディンゴの特徴

ディンゴの特徴

体長は約100㎝で、大半は赤みのある黄土色の毛をしており、ぴんと立った耳を持っているのが特徴です。見た目はとても愛らしく、日本でも飼われている犬と変わらないように思えますが、警戒心がとても強く獰猛です。あまり吠える事はありませんが、群れを作って生活をすることが大半で遠吠えによってコミュニケーションを取ります。

海外から輸入された野良犬とディンゴの交配によって生まれたのがディンゴ・ハイブリッドと呼ばれる雑種で、現在オーストラリアの大部分でディンゴ・ハイブリッドが生息しています。純血のディンゴに比べて適応能力があり、更に数を増やしています。内陸部や都市近辺のディンゴの大半はハイブリッドで、純血のディンゴはフレーザー島などとても限られた地域でのみ生息しています。

ディンゴ・ハイブリッド

ディンゴ・ハイブリッド

野生のディンゴと類似していて、筋肉質で運動神経が良いのが特徴です。狐のような立ち耳に長い尻尾を持っており、黄褐色、または茶色や白などもいます。ディンゴと同様歯の形はオオカミに似ており、あまり吠えません。

狩りは独りですることが多く、群れと一緒に狩りをする場合もそのうち仲の良い親子か兄弟とだけ組みます。

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ディンゴと人間

野生のディンゴはとても危険

危険なディンゴ

実際に野生のディンゴが多く生息するフレーザー島に行くと、島のツアーガイドから以下のようなディンゴに関する注意喚起があります。

・ディンゴは一般の犬とは違い、獰猛で行動は予測不可能です。
・ディンゴに遭遇したら大人は(10代の子供も含め)小さい子供のそばを離れないで、必ず集団で行動してください。
・ディンゴに絶対にエサを与えないでください。食品が入った入れ物はきちんと封をしてください。
・小さい子供から目を離さないでください。子供一人で歩き回るのは禁じられています。

以上の注意事項で、(特に子供に対して)とても攻撃的で危険であることが分かります。
エサに関しては、やる時に人間に危険が及ぶことも一つの理由ですが、エサを与えることによって野生の生態系を崩しディンゴの絶滅に追いやってしまうことになるからです。

また、野生のディンゴは肉食性でカンガルー、ワラビー、羊、ウサギ、牛などを食べます。(果物や植物を食べることもある)
人間の子供が特に危険だと言われている理由が分かります。

実際に2001年フレーザー島にキャンプに訪れた2人の少年がディンゴに襲われた事件がありました。

「観光地の島で9歳の少年とその弟がディンゴに襲われる」
“2匹のディンゴが9歳の少年とその弟に襲いかかり、9歳の少年は死亡、7歳の弟は重症を負った。世界遺産に登録されているフレーザー島で起こった悲劇である。警察は、ディンゴはおそらく9歳の少年のあとを尾行し、キャンプ場の近くでつまずいて転んだところを襲い掛かったのだろうと述べた。その弟は、父と一緒に現場に駆け付けた時に襲われた。9歳の少年は死亡、弟はヘリで救急搬送され噛まれた腕と足の治療をする事となった。“[blogcard url="https://www.theguardian.com/world/2001/may/01/patrickbarkham"]

ディンゴフェンス

ディンゴフェンス

1885年に完成したオーストラリアの害獣排除柵とも呼ばれるフェンスで、家畜を襲ってしまうディンゴに備えて作られました。特に羊の放牧が多いクイーンズランド州南部で重宝されています。世界でも非常に長い建設物の一つで、世界最長の柵と言われています。

柵の北西側のディンゴ生息域ではカンガルーとエミューの数が少なく、ディンゴの影響であることが分かります。対して、柵内ではカンガルーの群れの数が増加しています。

このフェンスは羊をディンゴから守る役割を果たしている一方で、生態サイクルからディンゴが消えた事によってウサギ、カンガルー、エミューの牧草競争が激しくなったとも言えます。また、羊を襲うのはディンゴだけはありません。

ディンゴを飼う

ディンゴを飼う

ディンゴ・ハイブリッドは実際にペットとしても飼われています。オーストラリアではディンゴは野生の動物として飼育を禁じる法律がありますが、雑種という登録によって飼われている場合がほとんどです。

赤ちゃんの時に人の家で生まれたディンゴ・ハイブリッドは犬同様に扱われ、保護されたディンゴ・ハイブリッドも十分にしつけした上で譲渡されています。

ディンゴは日本で見られるのか

その見た目が秋田県や紀州犬、柴犬などに似ていることから、明治時代には「ディンゴは日本犬の祖先ではないか」とも言われていましたが、現在はこの説は否定されています

もともと東南アジアが生息地であるディンゴは明治32年に上野動物園に輸入され、大正8年には京都動物園で飼育されていました。
現在は絶滅危惧種に登録されており、日本で飼育している動物園はないようです。

さいごに

見た目とは裏腹にとても獰猛なディンゴ。オーストラリア(特に野生のディンゴが住むフレーザー島)へ旅行に行く際は注意が必要です。
ディンゴ・ハイブリッドを飼い犬として家族に受け入れている家庭もあるので、運が良ければ現地で散歩中の様子を見られるかもしれません。

どんなに危険で獰猛と言われている野生動物も、赤ちゃんの頃から人と触れ合いながら育った動物は人懐っこいもの。人慣れしているディンゴを見れば、ディンゴへの考え方が変わるかもしれませんね。


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